現在、中学2年生の娘が起立性調節障害になってから3年が経過しました。
一向に良くなる気配がなく、中学に上がってからは、週に1日、午後からの登校のみとなっております。
成長と共に良くなると信じていたはずが、悪化しているように思えることはとてもツライことです。
症状改善のため、塩分・水分を多めに取るなどのことはもちろん、処方された昇圧剤や起立性調節障害に効果があるという鍼治療、栄養療法など色々と試しました。
しかし、一時的に良くなったことはあっても症状には波があり、良くなったり悪くなったりの繰り返しで現在に至ります。
家ではストレスのない生活を送るため、好きなことをして過ごすようにしています。
娘の場合、常にある症状の中に「倦怠感」がありました。
いつもだるいと言っていて、夜になってもだるさが続く日も多く、1日中体調が優れません。
倦怠感、立ちくらみ、めまいが主な症状だと思い、色々調べたところ「上咽頭擦過治療(じょういんとうさっかちりょう)(EAT療法、Bスポット療法)」にたどり着きました。
結論から書きますと、治療後1年経過した現在は、立ちくらみやめまいはなくなりました。
娘本人も、この治療のおかげだと言っています。
この記事では、「上咽頭擦過治療(EAT療法、Bスポット療法」の経過と、体調の変化などを書いていこうと思います。
上咽頭擦過治療とは?
「上咽頭擦過治療(EAT療法、Bスポット療法」と聞いてもピンと来ない方の方が多いと思います。
画像の赤い部分が上咽頭(じょういんとう)という場所で、ここに起こった炎症のことを『上咽頭炎(じょういんとうえん)』と言います。
娘は上咽頭に炎症が起きており「慢性上咽頭炎(まんせいじょういんとうえん)」と診断されました。
慢性上咽頭炎の治療とはどのように行うのか、またどれくらい痛いのか!も娘の体験談として書いていこうと思います。
通院するまで
この本を読んで、起立性調節障害にも効果があることがわかり、EAT療法(Bスポット療法)を行っている耳鼻咽喉科を探しました。
上記の本に治療できる病院が載っています。なるべく近場で通いやすい耳鼻咽喉科探しからのスタートです。
わたしの仕事の都合上、土曜日しか通えないので、予約をとるのも少し大変でした。土曜日は午前診療のところがほとんどです。
しかし逆に、予約ができることは有難く、体調の優れない娘を午前中に連れていくことを思うと、予約さえ取れればその時間に診てもらえるという安心感がありました。
けれども治療を受ける当の本人は、午前中は特に体調が悪く普段はお昼近くまで起きることができません。
でもそうは言っていられないので、土曜日だけはなんとか頑張って起きてもらいました。
以下は中学1年生だった娘がEAT治療をした体験談となります。参考程度にお読みいただければと思います。
EAT療法(Bスポット療法)1回目
娘には、治療については本を少し見せたり、行く耳鼻咽喉科のHPを見せたりして、どのような治療をするのか伝えてはいました。
しかもそれが「すごく痛い治療」と言うことも!
当日、病院に着くと割とすぐに呼ばれたので、心の準備をする間もなく、時間通りに診察してもらえました。
[st-kaiwa-11565]起立性調節障害で2年間倦怠感が続いています。EAT治療が起立性調節障害にも効果があると聞いたのですが。[/st-kaiwa-11565]
先生に起立性調節障害の診断で2年間倦怠感が続いていることを話すと、起立性調節障害にも効果があるとのことです。早速、診てもらいます。
内視鏡で患部を診る
片方の鼻にファイバースコープを入れます。
患者側からもよく見えるPCの画面に、鼻の奥が映し出されました。娘本人にもその画像が丸見えです。一見、素人目には何も症状がないように思えました。
綿棒で擦る
次に、もう片方の鼻に塩素亜鉛をしみこませた長い綿棒を入れます。
そして患部を擦ると、みるみるうちに出血、出血、大出血です!!
擦れば擦るほど出血していくので、見ているわたしの方が声をあげてしまいました…。診察中の娘は、先生からの「痛いよねー」の声にも動じず、表情を一切変えません。
あとから聞いてみると、その時は痛すぎて何も反応できなかったそうです。
擦っていた時間は1分もかからないほどだったでしょうか。
鼻から抜いた綿棒は血がたくさん付着していました。相当な痛さだったと想像します。
そして、診断は慢性上咽頭炎とのことでした。
親として、慢性上咽頭炎と聞いて逆に安心しました。長年の倦怠感の原因がやっと解明した思いが強かったです。
治療後の痛み
この治療、初回が一番、出血量も多く痛いそうです。治療後、娘はのどの激痛と頭痛でしばらく喋ることも出来ませんでした。
数時間(5時間ほど)痛みは続き、その後はまったく痛くなくなったようです。
倦怠感について
肝心の倦怠感についてですが、この日はあまり変化なし。あまりその辺は気にせず、長い目で様子を見ようと思います。
EAT療法(Bスポット療法)2回目
最初の内は週に1度のペースでEAT治療を行うことになりました。
翌週、2回目の治療です。
鼻と口からの治療
この日は内視鏡は無し。
両方の鼻に麻酔(綿棒にしみこませた麻酔を鼻に入れて塗る)をして、はじめは鼻からのEAT治療です。片方の鼻に薬液をしみこませた綿棒を入れて数秒擦ります。
次に、のども擦りました。
3秒擦るよーっと、口を開けて3つ数える間に擦り終えましたが…相当痛そうでした。
のどの奥をグリグリとやったので、痛みも激しかったようです。
それは1回目の鼻だけ擦った時よりもはるかに痛かったとのことで、しばらく何もしゃべれませんでした。
終わってから、先生が娘に「また来れるかな?」と聞いていましたが、痛くて声も出せなかったようです。
治療自体は5分程度で、すぐに終わるのも良いです。
保険診療が使えるため、2回目は500円以下で済みました。
治療後の痛み
この日も数時間(5時間ほど)痛みは続きましたが、それ以降はケロッとしていました。
倦怠感について
夜、とても体調が良さそうに過ごしていたので効果が現れたのかな?と思いました。
翌日も、普段は体調の悪い午前中にも関わらず割と元気な様子にみえました。
あまり本人に体調の確認をすると意識してしまうので、あえて聞かないようにしています。
2回目を行った週の終わり頃、娘から「めまい(立ちくらみ)が少なくなった」との報告がありました!
EAT療法(Bスポット療法)3回目
鼻と口からの治療
3回目も鼻とのどからのEAT治療です。
鼻から入れて擦り、抜き出した時に見える綿棒に付着している出血量が微量になったと思いました。
相変わらず、のどを擦る時は苦しそうです。
治療後の痛み
前回よりも痛いけれど痛みがましだったとのこと。
1~2回目の帰り道は痛くて声を出すこともしていなかったのですが、この日は小声で話せていました。
飲食も、前回までは痛みで食べる気力もなくゼリー飲料しか受け付けなかったのですが、3回目のこの日は食事も普通にしていました。
慣れてきたこともあるかと思います。
倦怠感について
体調は、めまいは軽減したものの頭痛・だるさは2日後まであり。3日目も頭痛・だるさはあったものの、元気!それ以降は相変わらずな体調で、良い感じではなかったです。
EAT療法(Bスポット療法)4回目
1週間に1度の通院だったのですが、予約が取れずに1週間空いてしまいました。
2週間振りの治療です。
内視鏡で見る
通院してから1ヶ月経ったので、この日は内視鏡を使っての治療でした。
2回目以降、麻酔をしてからの治療です。
症状としては、めまいが軽減していたのですが最近またぶり返したことを伝えます。
先生曰く、気候の変動もあるかもとのことでした。
1ヶ月振りに映し出された娘の上咽頭。
擦るとまた出血し始めます。この日はいつも以上に擦る時間が長く感じました。
娘の目はだんだんとウルウルしてきて、かなり痛そう!
最初の画像とこの日の画像を見比べて、最初よりも患部のむくみがひいてきたことを教えてくれました。
画像で見ると、確かに初回よりも患部のヒダ?が細かく見えるようになっています(初回は患部が平たく見えていました)。
徐々に良くなっているのかと思うと、娘は痛くて可哀相ですが通い甲斐があるなぁと思います。
治療後の痛み
痛みは相当だったようですが、回復する時間は早くなりました。
1時間後くらいには、痛みはなくなりのどの違和感だけあると言っていました。
違和感も数時間で忘れてしまうほどだったようで、麻酔のおかげなのか良くなって来たからなのか、ずっと痛いわけではないようで安心です。
そしてこの日は、治療後のご飯も普通に食べられました。
倦怠感について
翌日、とっても久し振りに元気だった娘の姿がありました。
なんというか、よく喋るしハイテンションという感じ。やる気もあり、こんな姿を見るのは久し振り!
自律神経が刺激されたからなのか、とにかく元気な姿が見られて本当に嬉しかったです。
しかしその翌日からは普段通りの娘の状態に戻ってしまいました。
EAT療法(Bスポット療法)5回目
1週間後、5回目のEAT治療です。
先生に、先週の治療翌日とても元気だったことを伝えました。
でもその後は相変わらずの体調だったことも伝えましたが、良くなる兆候が少しでも見られることは他の患者さんでもあることのようです。
痛い治療も良くなると思えれば頑張れそうです。
両側の鼻から治療
この日は麻酔をしてから、初めて左右両方の鼻を綿棒を入れて擦られていました。今まではずっと片方の鼻だけです。
鼻の次はのど。のどは痛いのを知っているので少し抵抗があるようです。
のどを擦ったあとの綿棒を見ると、少し血がにじんでいました。
治療後の痛み
痛みは、娘曰く擦っている時よりもその後の方がじーんと痛いとのこと。
しかし、割とすぐに喋れるようになりました。
この痛みに関しては、良くなってきたことと慣れてきたこともあるのか、だんだん短くなってきています。
倦怠感について
この5回目の後、治療後2日間は気分が下降気味になり、とにかく元気がなくやる気も全くなく、塞ぎこんでいました。
好転反応?と思ったりもしましたが、原因がわからず、先週まで元気な日があっただけに期待してしまっていたのでがっかりしてしまいました…。
しかし!
治療後3日目~5日目、とてもとても元気にだったのです!
明るく、よく喋り、笑い、やる気にも満ちていてまるで元気だった頃の姿に戻ったかのよう!
こんな姿を見るのは2年振りで、もうびっくりしました。
元気だとよく喋るんだなぁ、とにかくテンションが高くて!
普段はやりたいことがたくさんあるけれど、だるくて出来ない生活。
元気だった数日は、部屋の片付けを黙々とやったり、少し勉強をしたり、家事を手伝ったりしました。
6日目は疲れが出てしまったのか、元に戻っていました。
それでも効果があることを実感出来たので、明るい気持ちになれます。
EAT療法(Bスポット療法)6回目
1週間後、6回目のEAT治療です。
鼻とのどから治療
鼻とのどからのEAT治療で、のどから抜いた綿棒を見たら出血していませんでした。
治療後の痛み
少しは痛いけれど、もうそこまで痛みはないようです。だいぶ慢性上咽頭炎も良くなってきたからでしょうか。
倦怠感について
この週は、生理前と言うこともありとにかく体調もメンタルも下降気味。先週のような元気な姿を見ることはありませんでした。
きっと治療の効果にも波があり、ホルモンバランスの変化には打ち勝つことができなかったのかと思いました。PMSの症状と、気圧の影響をもろに受けていた気がします。
ここは一喜一憂せず、あまり気にせずです!
EAT療法(Bスポット療法)7回目
7回目のEAT治療。通い始めて2か月ほど経ちます。
鼻から治療
先生曰く、ほとんど出血がなくなったとのこと。良くなって来ているようです。
治療後の痛み
今日の治療後の痛みは、鼻はほぼ痛みがなかったと言っていました。のどは結構強めにグリグリされていたので数時間痛がっていましたが…。
倦怠感について
その後の体調面は、まあまあと言った感じ。気圧の影響をすごく受けてしまうので、大雨が降ったりすると途端に頭がぼーっとしたりします。
しかしこの頃は本を読む集中力があり、昼間も夜も読書をしている時間が増えました。
勉強は全く出来ていませんでしたが、夜の元気な時間にほんの少し出来るようにもなりました(これはすごい進歩!)。
本人に体調のことはあまり聞かないようにしていますが、多分だるさがましになっているのだろうなと思っているところです。
EAT療法(Bスポット療法)8回目
8回目のEAT治療。
元々の体調も良くなかったのもあり、これと言ってあまり変化なしです。先生からも「一喜一憂しないように」とのことでした。
EAT療法(Bスポット療法)9回目
9回目のEAT治療。
季節は夏。台風の影響もあって毎日体調が良くない日が続いていました。通院も出来ないくらいの時もあり約20日振り。
先生に、今日で9回目のことを伝え、今後良くなっていくのか聞いてみました。
上咽頭炎自体は、見た目には炎症が治まっているようです。次回、内視鏡でまた診るとのこと。
まずは10回通ってみましょう、という始まりだったで効果の有り無しも分かってくる時期かも知れません。
たしか前回は、体調があまり良くないと言った時に「あまり一喜一憂しないように」とのことでしたが、今回は全員に効果が期待できる治療ではないこともおっしゃられていました。不調続きなのでそうおっしゃられたのかも知れません。
もし効果がなかったら、ただの痛いだけの治療になってしまうので、とのこと。
でも治療に長くかかるというようなことも言っていたような。
5回目の治療のあとに劇的に良くなったことがあったので、効果がないとは思えません。先生もそのことは覚えてたようです。
治療後の痛み
鼻からだけの治療だったのですが、1時間ほどで痛みは一旦治まり(その後また痛みが出たみたいです)、帰りの車の中では歌えるほどでした!これは初めてのこと。
倦怠感について
夜まで気持ちが上向きで過ごせていました。普段なら、やる気も出ず元気もなく、うつ状態なのかと思うくらいなのに。久し振りに効果があったと思えています。
EAT療法(Bスポット療法)10回目
10回目のEAT治療は3週間振り。台風が続き、体調不良で通院できませんでした。
内視鏡を使って患部を見ました。もう出血はしていなかったようです。
最初の目処の10回の通院を終え、上咽頭の方は良くなったので、通うのも間を空けて良いとのことでした。
EAT療法(Bスポット療法)11回目
11回目のEAT治療は4週間振り。もう通わなくても平気かもと感じました。
麻酔もなしであっという間に診察も終了。痛みも少なく、次回は様子見で通院でしたが、結局この日で最後となりました。
その後
結論から言うと、EAT治療をしてからあまりだるさを訴えなくなりました。
また、EAT治療5回目に経験した、とても元気でやる気に満ち溢れた経験が、その後の活動につながるきっかけになったと思っています。
娘の場合、発症した小5~中1と、毎日朝から夜まで倦怠感が続いていました。そんな中、久し振りにだるさがない時間を経験し、本人も「だるくないってすごいね!」と大喜び。体調が良いとこんなに色々できるんだ!と思い出したようです。もしも病気でなかったら、毎日だるくないし元気に過ごせているはず。病気が憎いです。
中1の春~秋にかけて治療を行い、波はあるものの時折すごく元気な姿を見せてくれました。治ったのか?と思う程一番元気だったのは冬休みに入った頃。みんなが休みだという安心感も大きかったと言っていましたが、連日ひとりで外出していました。20,000歩近く、1日で歩き回った日も!体調が良くて、どこかに出かけられることが楽しくて仕方なかったようです。
これは、治療を行って体調が良い日を経験したおかげだと思っています。
1年後
1年後、中2になった現在ですが、まだ起立性調節障害が治った訳ではありません。しかし、体調が良い日は増えました。
だるさが減り、治療5回目でやる気が出たことをきっかけに、色々と自分から動きだせるようになりました(今はダイエットを兼ねて筋トレ・料理に目覚めています)。
学校には、ほぼ毎日午後から登校できるようになりました(保健室登校ですが)。また、適応指導教室に通室する準備を進めているので、自分でバスに乗って通ったりもしています。少しずつですが、良くなってきていると思うので、焦らず見守り中です。
何が効果があるのか分からない中、だるさが減るきっかけになったこの治療は良かったのではないかと思います。同じ病気の方、ご家族の方、これと言った治療法がないため長い時間この病と闘っていらっしゃると思います。わたしもその一人で、ネットで色々と情報収集し、良いと言われていることを試してきました。このEAT治療もその一つ。体験談として記しておこうと思いました。この治療が気になっている方の参考になれば幸いです。そして少しでも体調が良くなり元気な姿で過ごせますように。
お読みいただきまして、ありがとうございました。